Gimmel Ring=ギメルリング=
抱き合わせると一つの指輪になるギメルリングは、
16~17世紀の中世ヨーロッパで結婚指輪として用いられはじめられたようです。
アンティークショップなどでもときおり扱われていますので
実際にご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
多く見られるのは上のようなシンプルなタイプですが、
ルネサンス期には、フープのショルダー部分に彫刻を施したり、
ベゼル部分が握り合う手になっているもの、
家(家庭を意味します)、 燃える心臓(ハート)や、お墓の中の男女、
乳児と骸骨(夫婦の一生を表します)、など、
象徴的なモチーフを隠した装飾的で豪華なものも作られました。
2000年頃だったとおもいますが、
ハートを包み込むように手を手を重ねた
3連のアンティークの指輪を見る機会がありました。
それまで私自身としては、
あまり指輪と言うアイテムには興味はなかったのですが、
その指輪にはなぜかとても惹かれました。
それから、アンティークの指輪、とくにギメルリングに興味を持ち、
実物を見て回ったり、資料を集めたりしていました。
金製の細くシンプルなアンティークのギメルリングを実際に手に取ったとき、
指輪の持つ意味がはじめて理解できたように感じたのです。
このリングを前サイトでひそかに公開してから、
もう15年になりますが、
思いもよらず沢山の方からお問い合わせをうけ、
マリッジリングや、パートナーやご自分への贈り物として、製作のご依頼を受けつづけております。
このようなちいさなサイトにもかかわらず、 正直なところ不思議に思っています。
数年前、マンガで取り上げられたり、
橋本コレクションが公開されたことなどが
理由としてあるのかもしれません。
しかし、それよりも、
この、ギメルリング自体に、「指輪」が
本来持っている、
静かで強い力が秘められていることを、
私と同じように、感じ取られる方がいらっしゃるからではないかと考えています。
参考
・東京都庭園美術館監修「指輪-古代エジプトから20世紀まで-」淡交社、2000年
・浜本隆志 「指輪の文化史」白水社、1999年
ブログでもギメルリングをご紹介しています。